今月のひとこと5月
「甃いしのうへ」
この春10余年ぶりに吉野へ花見に出かけた。花はすでに散りかけていて見ごろにはちょっと遅かったのだが、木々を渡る風は心地よく、川面は太陽の光を受けて輝き、少々きついところもある山道も心躍るものであった。
山の空気に癒されていたおかげか、そんな情景の中でフッと「あはれ はなびらながれ・・・」と三好達治の「甃のうへ」の一節が心に浮かんできた。作曲家の萩原英彦のメロディーと共に。10代のころに歌った曲だった。叙情的な楽曲に歌う喜びをのせていた当時の自分に出会えた気がした。当時はただただ一生懸命だった自分をいとおしいと思った。
休憩をしていた時、隣に座った方から「一期一会だから」と声をかけられた。80代というその人と短い時間であったがおしゃべりをした。休憩の後「さ、もっと上へ」とさっと登っていかれた。「自分もああなりたい」と思った。
過去の自分と、現在の自分、そしてこれからの自分につながる出会いをいただいた一日であった。
日常の生活も大事だけど、たまには日常の生活から離れてみることも、「自分との出会いが生まれるかもしれないと思った。
時はまさに「山笑う」
季節である。
青い鳥
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